脳卒中・循環器病に関する国民の知識調査(第1報:病気の認知度について)

岡村智教(日本脳卒中協会常任理事/慶應義塾大学衛生学公衆衛生学)

日本脳卒中協会と日本循環器学会は、厚生労働省の令和6年度の普及啓発事業の一環として、国民の循環器病に関する知識調査を行いました。調査は15歳~79歳の1万人を対象にインターネットで実施され、病気の認知度や症状、治療方法、発症の原因、健康情報の入手先、発症後の支援制度などについて4択で回答していただきました。

今回ご紹介するのは、「病気の認知度に関する結果」です。

まず図1に示したように「循環器病」という総称よりも、個々の病気、例えば「脳梗塞」や「心筋梗塞」の認知度の方が高いことがわかりました。また「心房細動」と「一過性脳虚血発作(TIA)」の認知度が低いこともわかりました。さらに「循環器病」を「よく知っている」と回答した687人のうち、個々の病気を「よく知っている」と回答した人の割合を図2に示します。これを見ると、「循環器病」を「よく知っている」と回答した人においても、「循環器病」に含まれる個々の病気をよく知っている者は6割程度であることがわかりました。

このように病気に対する認識の不足は、早期発見や適切な対応を遅らせる原因になる可能性があります。病気を正しく知ることは、命を守る第一歩です。今後もわかりやすい情報発信に努めてまいります。

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